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景色が流れていく。
広大な湖と、のどかな田んぼ。
ふっと眠りそうになってしまうぐらい、心がゆるんでいくのを感じる。

いかんいかん、眠っていても起きていても景色は流れてしまう。
次に目を開けたら、もう住宅街なんてことになりかねない。
目に焼き付けておかなければ。

小さく、欠伸をする。

あれ、小さいころなんだかそういう内容の歌を聞かなかったっけかな。
結構リアルで毎週どうなるかわからないぐらい、ハラハラして。
かっこいい刑事さんが出ていて、あんなふうになりたかったんじゃなかったっけ。
刑事ドラマ?いや、なにか・・・ヒーローが出ていた気がする。
なんだったかな・・・。
大好きでたまらなかったのに、なぜ思い出せないんだろう。

考え込みながら、走る電車の窓を眺めた。
青空に薄く雲が伸びている。

いったんもめん、みたいだなぁ。
いや、せっかくだから、もっとかっこいいものはどうだろうか?
湖の龍神様が天に昇っていくとか。

思わず苦笑してしまった。

龍神様って。
そんな話、昔話か、2時間サスペンスにでてくるご当地エピソードぐらいしか最近出会わないよ。
大体、いったんもめん、だってアニメのキャラクターじゃないか。

口に運んだ缶ビールがぬるくて、また苦笑いだ。
冷たくないうちに、なんで飲まなかったんだ。

それにしても、ずっと同じ景色だ。
木々で覆い尽くされた山。
どこまで続くんだ、この湖は。

あ、あの山のふもと、湖のぎりぎりにある建物は何だろう。
ホテルか何かだろうか。
陸から行けるんだろうか?
船でしか行けないとか?

そうなると、何か犯罪小説の舞台になりそうだな。
ちらちらと見える、ウインドサーフィンのプレーヤーが殺害現場を目撃とか。

いや湖の犯罪なら、こうして俺が車窓から目撃するのも悪くないな。
おや、車窓から目撃される犯罪の小説がなかったかな。
結構有名なヤツ。
なんだっけなぁ・・・・

ぬるくなったビールを最後まで飲み干す。
だめだ、思い出せない。
帰ったら本屋で探してみるとしよう。

少しずつ家が増えてきた。
田んぼに看板が増えると、街が近い証拠だ。
まだ目的地まで時間がある。
少し寝るとしよう。

あとがき

最近始めた試み第2弾。
写真や画像を見てわいてきたインスピレーションを、言葉にする、という課題。
今回はフィクション。
車窓を眺める男の頭の中。

電車に限らず、バスもそうかもしれないが、車窓から見える景色をみて無心になることがない。
一瞬ですぎさる1軒の家にもドラマがあるのかもしれない。
田んぼの真ん中に山があって、お社がちらりと見えたりするとか。
今も誰かがお参りするんだろうか、と想像する。
誰も通らなそうな道に、乗り捨てられた車があったりもする。

そういうことから、いろんなことが頭の中でぐるぐるとつながって、とんでもなく昔の記憶や言葉がでてきたりする。
でもちゃんと思い出せずに、また次の考えが上書きしていく。

この男も、きっと終点の駅に着くころには、何を考えていたのかも忘れて次のことを考えている。

ストレングスファインダーでいうところの、内省さんの頭の中ってこんな感じじゃなかろうか。
私の頭の中はいつもそんな感じ。
常に何かを考えている。

今回も使わせていただいたのは、空気感フォトグラファーの花村貴史さん(なむさん)の写真。
noteの継続課金マガジン、「空気感フォト」の中の作品の一つ。

フィクションはもう何年も書いていないから、ちょっと違和感がある。
でも、また続けて自分の中に表現が戻ってくるといいなと思っている。

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この記事を書いた人

蒼(あおい)

蒼(あおい)

【灯台ブロガー】
●接客業を11年半やって、2018年5月31日で会社員を卒業しました!
●かつての私のように人生って暗闇だよねって思っている人に、灯台のように、北極星のように、そっと道を照らしてあげられる文章を書いて生きていきたい。

twitter:@yazumi_aoi

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