サスペンスドラマだと、大体組織の中の対立が描かれる。
日本だったら「本庁vs所轄」。
アメリカだったら「FBIvs地元警察」とか。
このドラマは対立構図がはっきりしている。
所轄に乗り込んでくる、警視庁のエリート管理官。
しかも若い女が。
「女の管理官が仕切れんのかよ」
「お嬢ちゃんは引っ込んでろよ」
と1回目の捜査会議に足を踏み入れると、聞こえるように大きな声でいわれるのはお約束だ。
小池栄子演じる、水城さやはそういう声に真っ向勝負するわけではない。
時に情熱をもって、時にうまいこと”ガソリン”いれたりしながら、コントロールしながら、チームをまとめ上げていく。
でも、何よりも所轄のオヤジたちの心をまとめ上げるのは、彼女の事件に向き合う真摯な態度だと思う。
副題は『全ての責任は、私が取ります!』。
彼女はこのセリフをよく口にする。
捜査会議の場でも、上層部に対しても。
女性の目線で見るからだろうか、すごくいい作品です。
3作品しかないのがもったいないぐらいです。
では、ご紹介します!
「捜査指揮官 水城さや」の面白さは、”オヤジ”をどう動かすか!ということ
若くてキャリアの女性が、捜査を全て仕切りにやってくる。
着てくるファッションも割と挑戦的だ。
1作目の冒頭なんて、合コンから直行するので華やかな格好。
現場にきていた刑事たちは、すでに冷ややかだ。
もしくは、臨場して部下が「管理官をお連れしました!」っていうと、年上の部下「ガンさん」に現場の人たちが一礼する。
腕章を確認することもなく、反射的に「男」に向かって頭を下げるのは、彼女にとって「お約束」だ。
捜査会議に足を踏み入れれば、
「お嬢ちゃんにつとまんのかよ!」
「やってらんねぇよ」
とこれ見よがしにいわれる。
そんなアウェイの中、彼女は淡々と捜査の班割を伝えて、捜査を進めていく。
彼女はちょいちょいとテクニックを駆使する。
報告にくる全員の名前をきちんと呼び、「お子さんの高校受験おめでとうございます」など、声をかける。
そういわれて、悪い気はしないので、ちょっと態度は軟化する。
事件が起きると、本部に泊まり込みになるところ、頃合いを見て”ガソリン”という名目で、日本酒を差し入れする。
ガツンと言わなくてはいけない時は、ひるまない。
「黙れ、おやじ!」
と一喝する。
事件に対してどういう思い出向き合いたいのか、体当たりで伝える姿勢。
手のひらでうまいこと転がしながら、熱い思いを伝えながら、「死ぬほどこき使う」。
彼女が「オヤジ殺し」という異名をとる所以だ。
オヤジ殺しを支える、縁の下のオヤジであるガンさん
水城さやの人心掌握術を支えるのは、彼女を支える直轄班の班長、岸本 達也警部補、通称「ガンさん」だ。
捜査員全員の名前と、家庭の事情などの下調べをしているのは、ガンさん。
暗記カードや、捜査会議の席次表を用意しておく。
現場の刑事たちが、「お、このお嬢さん管理官やるな」っていう目の色にしていくのは、ガンさんの力でもある。
というか、ガンさんの細やかな心配りがなければ成り立たない。
ちなみにこの番組のナレーションをするのも、ガンさん。
上司の水城さやと、部下の渡辺 愛子(通称ラブ)の女子会じみた会話に辟易してみせたり、新婚の妻へのひそかな愛を語ったり。
毎回現場で、「管理官」とまちがわれて「ちょっとうれしい」とつぶやいたりする。
ガンさんは、水城さやの部下になった時にどう思ったのだろうか。
ちょっと気になっている。
「警視庁機動捜査隊216」とのちょっとしたコラボがある
1作目に、「警視庁機動捜査隊216」から、2人がゲストに出てくる。
松尾諭演じる、富田 康介巡査長と、 斉藤祥太演じる佐藤守巡査。
「機捜217」の2人が、初動捜査をして引継ぎをするのだ。
大好きな番組同士のコラボで、ワクワクしました!
捜査指揮官 水城さやをもっと知りたい方はこちら▼
非常に面白いし、女性が組織の中で生きていく姿が描かれているおすすめな作品です。
2013年~2015年までに3作品しかないのが本当に残念です。